
第八番 小満(しょうまん)
陽に満ち、風にゆるむ
すべてがすくすくと、命を育むとき
草木が青く茂り、麦の穂がふくらみはじめる季節。
少しずつ気温が上がり、日差しには、初夏のまばゆさが感じられるようになってきました。
あたりまえのように見える野の緑や、庭先の草花の成長に、
「ほっ」と胸をなでおろすような、静かな安堵が漂う頃。
――季節は、「小満(しょうまん)」へ。
「小満」は、万物がすこし満ちていくという意味。
命あるすべてが、太陽の光とあたたかな風を受けて、のびのびと育つ時季です。
たとえば、田んぼの苗はしっかりと根を張り、
畑では夏野菜の芽がすくすくと伸びていきます。
山野に目をやれば、紅花や野の花が咲き乱れ、
早くもホトトギスの声が、季節の深まりをそっと知らせてくれます。
農村では、麦の穂が黄金色に色づき始め、
“麦秋(ばくしゅう)”と呼ばれる実りの風景が広がります。
初夏の風とともに、実りの兆しを目にするたび、
人びとの暮らしにも、自然と安心が訪れるのかもしれません。
もう少しで夏。
けれど、今はまだ、光と風がちょうどよくやさしい季節。
この時季の草いきれ、陽だまりの色、風に乗る匂い──
日々の小さな“満ちていく”瞬間に、
そっと気づいてみたくなるような時間です。
目次- table of contents-
1.【小満】とは
二十四節気の第八番目にあたる「小満(しょうまん)」は、例年5月21日ごろ。
「小さく満ちる」と書くとおり、草木や作物、動植物の命がすこしずつ育ち、
自然界が安定しはじめる季節を表しています。
かつては、秋に蒔いた麦がこの頃に穂をつけることから、
ようやくひと安心できる時期とされ、「小満」という名が付いたとも言われます。
気候が安定し、梅雨入りを前に、
自然界がもっとも“成長の力”に満ちるころ――
そんな生命のめぐりを、やわらかく見守るような季節です。