
「旧暦(きゅうれき)」とは、明治のはじめまで日本で用いられた、月の満ち欠けを基準にした暦のことです。
正式には「太陰太陽暦(たいいんたいようれき)」と呼ばれ、月のリズムに合わせながら、太陽の動きも取り入れて季節のズレを調整する、自然の営みに寄り添った暦でした。
一方、私たちが現在使っている「新暦(しんれき)」は、「グレゴリオ暦」という世界共通の太陽暦で、太陽の動きをもとに一年を365日(うるう年は366日)と定めています。これは西洋由来の暦で、明治5年(1872年)に、日本政府が西洋化政策の一環として旧暦からの切り替えを決めました。
「旧暦」と「新暦」違いはどこに?
大きな違いは、月日が自然のリズムとどれだけ一致しているか、という点にあります。
旧暦では、1ヵ月は新月から次の新月までのおよそ29.5日。季節の移り変わりを示す「二十四節気」や「七十二候」も、この旧暦に合わせて組み込まれていました。たとえば、旧暦の正月(お正月)は、今の2月上旬〜中旬ごろにあたり、梅がほころび、春の気配が立ちはじめる季節。自然と一体となった「春の始まり」だったのです。
しかし新暦では、毎年同じ日付でお正月がやってきます(1月1日)。季節感よりも、日付の正確さが重視されているのが特徴です。そのため、旧暦でいう「春」は、新暦の上ではまだ真冬にあたり、暦の季節感と実際の気候とのズレを感じることもあります。
なぜ今、旧暦が見直されているのか?
現代の暮らしは便利になった一方で、季節の細やかな変化や自然とのつながりを感じにくくなりました。そんな中、旧暦に目を向ける人が増えています。
旧暦を通して見る季節は、もっとゆっくりと、もっとしなやかに移ろいます。たとえば、七十二候の「桜始開(さくらはじめてひらく)」が告げるように、ただ春が来た、ではなく「この五日間に、桜がほころびはじめる」というような、小さな変化に目を向ける感性が養われます。
私たちの祖先が暮らしの中で大切にしてきた季節の手ざわりを、旧暦は今もそっと教えてくれるのです。











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