すずめが巣作りをはじめる頃
春の光が日ごとにやわらかくなり、空気にほんのりとぬくもりが混じりはじめるこの時季。
あちらこちらで、小さなすずめたちが忙しそうに動き回る姿を見かけるようになります。
七十二候のひとつ「雀始巣(すずめはじめてすくう)」は、すずめたちが巣作りを始める頃を表した節目。
冬を越し、春の陽ざしがのびやかに差しこむようになると、すずめたちは繁殖の準備をはじめます。
朝早くから、木の枝や軒下などに飛びまわり、枯れ草や羽毛、時には人の髪の毛まで集めて、あたたかな巣を少しずつ築いていきます。
人の暮らしのすぐそばで共に生きるすずめたち。
そのひたむきな姿は、どこか健気で、あたたかな春の空気と重なりながら、見る人の心にやさしく触れてきます。
やがてその巣には、小さな命が宿り、かすかな鳴き声が響く日もそう遠くありません。
季節の移ろいの中に、確かに芽吹いていく新しい命。そんなささやかな営みに、ふと耳を澄ませたくなるような、春の一頁です。
日々の喧騒を少し離れて、すずめのつくる小さな春のしるしに、そっと目を向けてみませんか。
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